富山県の近代産業は、売薬業から発展したものが多い。例えば、配置薬を入れるためにさまざまな箱や容器が開発され、それらが今日のパッケージ産業を育てた。箱や容器をはじめ、効能書や紙風船などに多種多様な印刷が施され、それらの技術がもととなって、印刷紙器や印刷加工などの特種印刷が発展した。
配置薬の訪問先でおまけに手渡した紙風船は、行商人たちのサービス精神を示したものであると同時に、自分たちの存在を印象づける宣伝ツールであった。配置薬業が、300年以上に渡って全国市場を確保しているのは、秀れた販売力によるものにほかならない。